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キミの生活はマグニチュードいくつ?

 「先生、カツ丼一杯のマグニチュードっていくつかご存じですか?」
 もう十年ぐらい前のことでしょうか、わたしの研究室の大学院生のM君がたのしそうに話しかけてきました。話を聞いてみると、彼は自分の好物のカツ丼のカロリーを地震学的に解釈すると、意外と大きなマグニチュードになることを発見したそうです。
 みなさんはマグニチュードという単位をご存じですか? どこかで体に感じる地震が起きるとテレビの画面には情報が流されますが、その時出てくる「M○.△」という謎の記号が地震の大きさをあらわすマグニチュードと呼ばれる量です。このマグニチュードは地震の大きさ(エネルギー)の大きさを示しています。よく「震度」と混同されることがあります。それじゃ「震度」は何を表しているの?という質問には別にお答えすることにして、話を進めます。

 学校で習う物理ではエネルギーや仕事の大きさを[J](ジュール)で表します。しかし、ジュールといわれてもピンとこない人が多いことでしょう。そこで、まず身近な食べ物の話と結びつけることにします。カップラーメンなどの横に一杯当たり何カロリーという表示が出ているのに気がついた人も多いのではないでしょうか(図1)。食品のカロリー量とは人間が摂取できるエネルギー量の目安です。1カロリーの熱量は4.2ジュールの仕事に相当します。人間が生きるために必要な食物がどれだけの熱量(エネルギー)をもっているかということを食品栄養学では[cal](カロリー)で表します。成人1人が一日に必要なカロリー量は1,800〜2,500[kcal]といわれています。これをジュールに換算すると、7,560,000〜10,500,000[J]になります。では、マグニチュード、ジュール、カロリーはどのようにつながるのでしょうか。

食品のカロリー表示
図1 食品のカロリー表示
 マグニチュードとジュールの関係はグラフ(図2)に示されるようになっています。グラフの横軸はエネルギーの大きさ[J]を示し、縦軸はマグニチュードMwの大きさを示しています。一回の地震で放出されるエネルギーとマグニチュードの関係がグラフの線で表されています。一回の地震が放出するエネルギーが約1,000倍になると、マグニチュードの数値が2大きくなるという法則があります。1,000,000倍ならマグニチュードの数値が4大きくなります。さらにわかりやすくするためにグラフの上には身の回りの現象に関連するエネルギーを点として表してあります。キャラメル一粒のカロリー量がMw=0.5に、カップ麺一杯がMw=0.9、成人一人が一日に必要なカロリー量はMw=1.5に相当します。
 しかし、ここまで想定しているのはあくまでもエネルギーの合計です。では、地震のエネルギーと他のエネルギーと何が違うのでしょうか。それは、1秒あたりに放出されるエネルギーの大きさ(仕事率)です(図3)。一日分なら86400秒かけてこれだけのエネルギーがすこしずつ消費されるのです。ところが、実際の地震では大きなエネルギーが一瞬(1/100秒から数秒)のうちに地下の断層からはき出されるのです。自然現象ってすごいですね(図4)。
   
 
地震の放出エネルギーとマグニチュード
図2 地震の放出エネルギーとマグニチュード
 
  仕事率とは
 図3 仕事率とは
兵庫県南部地震による被害
図4 兵庫県南部地震(M7.2)による被害

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